読書

小説・吉田拓郎  いつも見ていた広島

吉田拓郎のプロデビュー前の話。小説化しているので、どのくらい真実かはわからないが、「伝記」的な色合いもあり、かなり事実に近いのでしょう。拓郎が完全引退するか、亡くなったら、その後のデビューからの話を書いてもらい、それがTVドラマか映画にな…

へこたれない

鎌田實さんの一連のエッセイ集。がんばらないとか、あきらめないとか、医師として死と直面している環境の中で書かれたものなので、説得力があります。本人も書いていますが、話すようなテンポのある書きぶりです。そこが、書き言葉を読みなれていると、ちょ…

超・殺人事件―推理作家の苦悩

東野圭吾がいかに小説家であり、しかも「苦悩」しながらものを書いているのではないかと、推察できるような短編集。 こんな作家いた。こんな作品があった。といったモデルが浮かんでる、リアルで笑える小品。超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)作者: 東…

重力ピエロ

読後感は、爽快でもないし、納得でもないし、ちょっと完全燃焼できなかった。結構長い話だった分、「読んだぞ」という達成感があっても良かったんだろうけど、頂上を目指して登山していたら、着いたところが町の中だったりした残念感。伊坂幸太郎のこの作品…

ジェネラル・ルージュの凱旋

「ナイチンゲールの沈黙」と対になる話。同時展開しています。1つの病院で「沈黙」は小児科を中心に、「凱旋」は救命救急センターを中心に話が進みますが、田口・白鳥コンビが2つの話を同時に解決してしていきます。 前作は、女性的な話で、今回は男性的な…

告白

6章立てになっていて、それぞれの章は、1人称の「告白」で綴られる。 第1章が、教師。2章が女子生徒。3章が犯人Bの姉(ただしBの母の日記)。4章が犯人B。5章が犯人A。6章は、ネタばれの危険性があるので言及しませんが、できれば、違う人の方がよか…

人間の覚悟

五木寛之の人生訓。100年に1度の不景気な現在は、戦後50年かかった上り坂を登りきって10年たって、いよいよ下り坂が始まった。でも、あわてなくても心豊かに下っていこうと提案。 生老病死が人生の四苦なんだそうで、後の3つは理解できるけど、「生…

99%の誘拐

この作品は、1988年に発表されたものです。パソコンを使いまくった誘拐犯罪を描いた作品なのですが、88年ですから、インターネットはありません。「パソコン通信」の世界です。けれど、いまでも大丈夫なハイテクです。 人間ドラマとして読みたいミステ…

ナイチンゲールの沈黙

悲しい話は、「読んでしまった」という重たい読後感があるもので、この作品もかなり重たい気持ちになりました。ただ、ストーリーを概観すると、初めの3分の1のところで事件が起こり、犯人が読者に提示されます。そこからじっくりとその裏を白鳥・田口ペア…

短編小説のレシピ

短編小説という料理の作り方。レシピなので、素材がどうのというより、どんなふうに創っていくかという。いろいろな作家の作品を取り上げ、分析するところがポイント。短編小説のレシピ (集英社新書)作者: 阿刀田高出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/11/1…

みきわめ検定・枝付き干し葡萄とワイングラス

図書館で「超短編を含む短編集」と表紙にあったので、手にとってしまいました。 表紙のデザインがおしゃれです。「みきわめ・・・」は結婚前、「枝付き・・・」は結婚後の話ということで、別れ話と、離婚後の女性の日常的な、大きな感情のヤマがあるわけでも…

学校裏サイト

まじめに活動されている方の書かれた本です。タイトルが、刺激的で、薄っぺらなため読む意欲が高まっていなかったのですが、学校裏サイトだけの話ではなく、ネットオークション、ブログ、プロフ、モバゲーなどが、ちゃんと裏のしかけまで言及された納得のい…

イチロー×北野武キャッチボール

2003年7月5日が初版の対談本。アメリカ人もしっかりしてるぞと。イチローもがんばっているぞと。イチロー×北野武キャッチボール作者: 北野武,イチロー×北野武「キャッチボール」製作委員会出版社/メーカー: ぴあ発売日: 2003/06メディア: 単行本購入: …

謙信暗殺

今や、天地人ブームということで、上杉景勝の先代の謙信の死までの話。表の戦国時代の話の裏にあった(?)忍びの暗躍による謙信の暗殺。 こういうのは、1年間の大河ドラマを一日で済ませたようなある意味お得感があります。謙信暗殺 (カッパ・ノベルス)作…

τになるまで待って

いよいよGシリーズ第3作目です。今回すごいのは、西之園、犀川の最強ペアが、最終局面でヘリに乗ってさっそうと登場するや否やものの5分後には、もう謎は全面採決。密室殺人事件のトリックがあっという間にわかってしまう天才ぶり。人間のどろどろしたもの…

θは遊んでくれたよ

Gシリーズの第2弾。西之園、犀川のコンビから、新しいコンビへの移行が進むのかと思ったら、そうでもないみたいで、いつまでも保護者の顔が見えるみたいな。しかも、なんと真賀田四季まで、登場(名前だけですが)するのです。このシリーズが終わるまでに…

哲学

島田紳助と松本人志の共著という形で、短い文章を交互に書きながら、自分のことや相手のこと、お笑いのことを語っている。「書きながら」と書いたが、むしろ語っているものを起こしたような作り方だ。 02年の発行なのであれからの2人の行動も合わせると感…

φは壊れたね

久々の森博嗣です。図書館でGシリーズの1冊目があったので借りてしまいました。 話としては、S&Mシリーズのその後の流れの話です。謎解きが、なかなか始まらず最後の最後での急展開でした。次はθかな・・・Φは壊れたね (講談社ノベルス)作者: 森博嗣出…

ニュースキャスター

筑紫哲也さんが亡くなられて、追悼番組を見ました。TBSの「NEWS23」の裏側といった内容でした。彼の最後の仕事は、この番組で「ニュースキャスター」をやったこととみんなから記憶されることでしょう。 この本の最後には、引用として2つの言葉が載ってい…

問う女

主人公の女性の半生を描いたドラマチックな物語。自分に自信がなくて、自分ばかり見つめて生きてきたために、周囲からは自分中心のわがままな女と見られ、まわりの人を傷つけていく。「私はなぜ人から愛されないの」という問いに、最後は自ら答えを出す。 会…

スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎002 (講談社文庫)

シリーズ第1作は、東野圭吾が1970年、80年、90年に発表された短編ミステリーの中から選んだものを1冊にまとめたものでしたが、今回は宮部みゆきが、その次の年、1971年、81年、91年の作品の中から選びました。時代を思い出させる資料もつ…

にぶんのに

中島みゆきが小説を書いているとは知りませんでした。しかも心を病んだ女性の話。ストーリーは東京からインドネシア。そして、日本の国内を駆け巡り謎が解かれてゆく。中島みゆきを主人公に見立てて読んでゆくと絵が浮かびます。しかし、オチはそんなに深く…

チーム・バチスタの栄光

映画化にもテレビ化にもなった、第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。上下巻2冊構成の文庫本を読ませてもらいましたが、上巻を読んだ段階でどうなるのかと思ったら、とんでもないヒーローが出てきて、流れは大転回。一気に読んでしまいました…

ブッダは、なぜ子を捨てたか

なかなか、エキセントリックな書名。著者は、インドの仏教が「無我の仏教」であるとすれば、日本の仏教は「無私の仏教」であった。そして、江戸時代になって、先祖崇拝=葬式仏教の原型に練り上げられた。と述べている。ブッダは、なぜ子を捨てたか (集英社…

深紅

はじめは暗い話で、どこまで行くのだろうと思って読み進めたら、後半は救いも出てきた。 自分以外の家族を全部殺された被害者の女性がその殺人犯の娘を探し出し、殺人をそそのかす。ここまでは救いがないかと思った。 ところで、この作者は、2004年に亡くな…

赤朽葉家の伝説

戦中(第2次世界大戦)のころの少女が嫁に行き、子どもを生み、その子どもが、結婚し、子どもを生む。少女の孫が語り部となった大河小説風の渋さがあったのですが、最終章で軽いミステリーになってしまって、ちょっと残念な気持ち。高い山をようやく登ってつ…

やっぱりミステリーが好き

1990年に発行され、5年後に文庫本化された「雨の会」というミステリー作家集団の短編集。ちょっと昔なので、今の大御所が若いです。やっぱりミステリーが好き (講談社文庫)作者: 雨の会出版社/メーカー: 講談社発売日: 1995/03メディア: 文庫この商品を…

殺人の教室

日本推理作家協会の編集するミステリー傑作選だけあって、宮部みゆき、奥田英朗、伊坂幸太郎、乙一など、豪華ラインナップ。レベルは高いです。殺人の教室 ミステリー傑作選 (講談社文庫)作者: 日本推理作家協会出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/04/14メ…

水の眠り灰の夢

60年代という日本の魅力ある混沌とした時代を舞台にトップ屋と言われた週刊誌の記者が殺人事件と爆弾魔の犯人の真相に迫る。読み終わって解説を読むとこの主人公が「顔に降りかかる雨」の主人公の父親であることがわかる。なんかスターウォーズみたいな展…

白い犬とワルツを

アメリカの作家の翻訳もの。外国文学を少しでも読みたい気分でしたので、映画化にもなった本作品を読んでみました。 主人公は、長年連れ添った妻に先立たれ、子どもたちからは心配され、これからの生活のよりどころを探している。すると、白い犬が寄り付くよ…