2009-01-01から1年間の記事一覧

フィッシュストーリー

この短編集は、伊坂としては早い時期の作品群である。4作品の一番古いのが01年の作品。それが、09年の12月に文庫本で発表された。表題の「フィッシュストーリー」は05年の作品であるが、映画にもなった。4作品の中で一番好きな作品だ。早い時期の…

毒笑小説

怪笑小説に続く、第2弾。文庫本には、なんと、京極夏彦との対談がおまけです。 対談の中には、笑わせる小説にかける力強い思いが表明されています。なかでも「つぐない」は、「秘密」にもつながるウルウル笑い系でいいですね。毒笑小説 (集英社文庫)作者: …

終末のフール

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてパニックが起こり、ようやく小康状態になった五年後。すなわちあと三年後に人類滅亡となる仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民のお話。「死神の精度」と構成は近いものがあって、短篇が集まってい…

殺人哀モード

日本推理作家協会の傑作選37です。書名は、内容と一致してないような気がします。うけ狙いとしか考えられません。けれど、それぞれの作品はなかなか楽しめました。特に、序文の北方謙三の文書は納得モノです。 短篇小説を読んでいると、不意に不思議な気分…

短編小説礼讃

岩波新書の86年出版されたものです。著者は、安部昭。彼の作品は読んだことがありませんが、短編小説を愛する気持ちが、伝わってきます。内容は、森鴎外、モーパッサン、ドーデ、ルナール、菊池寛、志賀直哉、チェーホフ、マンスフィールド、梶井基次郎、…

臨機応答・変問自在

森博嗣が大学の授業で質問に答える。けれど、森先生の回答はまさに「臨機応答・変問自在」なものです。 Q 世の中で最も大切なものは何ですか? ★時と場合による。また、大切の定義による。 ―森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在 (集英社新書)作者: 森博…

脳を活かす生活術

脳を活かすシリーズの3冊目。 もうひとつは、表情筋と脳の回路の密接な関係です。人間は、自分の表情に影響され認知判断も変わってしまうということが、実験で明らかにされています。いわば、自分が自分で自分の心を作っているという事実です。 脳も体の一…

1Q84

村上春樹の最新作ということで、話題になった作品です。海辺のカフカに習って、2人の登場人物が交互に登場するストーリーの展開です。かなり性描写があるので、子どもには読ませられない作品だと思います。R-12ぐらいでしょうか。よって大ベストセラーにな…

怪笑小説

帯には、「作家・東野の黒い顔。」とあるのですが、短編小説で、ブラックユーモアな作品集です。「一徹おやじ」は、巨人の星のパロディーですし、「逆転同窓会」はかなり教師に対する悪意があって、「動物家族」は乙一風と。ブラックな中にバラエティーのあ…

死神と雷鳴の暗号

本格短編ベスト・セレクションと銘打って、本格ミステリ作家クラブ編さんの小説8編とマンガ1編と評論1編が詰まっています。 むちゃくちゃなのは「通りすがりの改造人間」で、怪獣が出ますが、あんまりストーリーと絡まないというか、怪獣がなぜ出現するの…

龍馬の黒幕

明治維新の裏に英国諜報部がいた。しかも中心となる人物は、フリーメイソンといわれる人たちだった。 龍馬は誰に殺されたか。それはいろいろな人が推理していますが、この本でも、最後の章(正確にはひとつ前)まで引っ張っています。でも、後ろから読んでは…

ぼくの愛しい歌

阿久悠の5千曲以上の作詞した作品の中で、商業的にあまり売れなかったけれど、思い出に残っている50篇について語ったものをまとめたもの。 いまは、YouTubeで、いくつか聞くことができるよい時代になりました。例えば、ズー・ニー・ヴーの唄「ひとりの悲…

小説・吉田拓郎  いつも見ていた広島

吉田拓郎のプロデビュー前の話。小説化しているので、どのくらい真実かはわからないが、「伝記」的な色合いもあり、かなり事実に近いのでしょう。拓郎が完全引退するか、亡くなったら、その後のデビューからの話を書いてもらい、それがTVドラマか映画にな…

へこたれない

鎌田實さんの一連のエッセイ集。がんばらないとか、あきらめないとか、医師として死と直面している環境の中で書かれたものなので、説得力があります。本人も書いていますが、話すようなテンポのある書きぶりです。そこが、書き言葉を読みなれていると、ちょ…

超・殺人事件―推理作家の苦悩

東野圭吾がいかに小説家であり、しかも「苦悩」しながらものを書いているのではないかと、推察できるような短編集。 こんな作家いた。こんな作品があった。といったモデルが浮かんでる、リアルで笑える小品。超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)作者: 東…

重力ピエロ

読後感は、爽快でもないし、納得でもないし、ちょっと完全燃焼できなかった。結構長い話だった分、「読んだぞ」という達成感があっても良かったんだろうけど、頂上を目指して登山していたら、着いたところが町の中だったりした残念感。伊坂幸太郎のこの作品…

ジェネラル・ルージュの凱旋

「ナイチンゲールの沈黙」と対になる話。同時展開しています。1つの病院で「沈黙」は小児科を中心に、「凱旋」は救命救急センターを中心に話が進みますが、田口・白鳥コンビが2つの話を同時に解決してしていきます。 前作は、女性的な話で、今回は男性的な…

告白

6章立てになっていて、それぞれの章は、1人称の「告白」で綴られる。 第1章が、教師。2章が女子生徒。3章が犯人Bの姉(ただしBの母の日記)。4章が犯人B。5章が犯人A。6章は、ネタばれの危険性があるので言及しませんが、できれば、違う人の方がよか…

人間の覚悟

五木寛之の人生訓。100年に1度の不景気な現在は、戦後50年かかった上り坂を登りきって10年たって、いよいよ下り坂が始まった。でも、あわてなくても心豊かに下っていこうと提案。 生老病死が人生の四苦なんだそうで、後の3つは理解できるけど、「生…

99%の誘拐

この作品は、1988年に発表されたものです。パソコンを使いまくった誘拐犯罪を描いた作品なのですが、88年ですから、インターネットはありません。「パソコン通信」の世界です。けれど、いまでも大丈夫なハイテクです。 人間ドラマとして読みたいミステ…

ナイチンゲールの沈黙

悲しい話は、「読んでしまった」という重たい読後感があるもので、この作品もかなり重たい気持ちになりました。ただ、ストーリーを概観すると、初めの3分の1のところで事件が起こり、犯人が読者に提示されます。そこからじっくりとその裏を白鳥・田口ペア…

短編小説のレシピ

短編小説という料理の作り方。レシピなので、素材がどうのというより、どんなふうに創っていくかという。いろいろな作家の作品を取り上げ、分析するところがポイント。短編小説のレシピ (集英社新書)作者: 阿刀田高出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/11/1…

[読書]数学に感動する頭をつくる

国際数学オリンピックのメダリストを多数育てたという著者の数学の学習法についてまとめられた本。音感と同じような数学的センスを「数感」と名づけ、数感をどのように向上させるかが書かれています。 あとがきの一部を引用すると、「自分は基本ができないか…

みきわめ検定・枝付き干し葡萄とワイングラス

図書館で「超短編を含む短編集」と表紙にあったので、手にとってしまいました。 表紙のデザインがおしゃれです。「みきわめ・・・」は結婚前、「枝付き・・・」は結婚後の話ということで、別れ話と、離婚後の女性の日常的な、大きな感情のヤマがあるわけでも…

学校裏サイト

まじめに活動されている方の書かれた本です。タイトルが、刺激的で、薄っぺらなため読む意欲が高まっていなかったのですが、学校裏サイトだけの話ではなく、ネットオークション、ブログ、プロフ、モバゲーなどが、ちゃんと裏のしかけまで言及された納得のい…

イチロー×北野武キャッチボール

2003年7月5日が初版の対談本。アメリカ人もしっかりしてるぞと。イチローもがんばっているぞと。イチロー×北野武キャッチボール作者: 北野武,イチロー×北野武「キャッチボール」製作委員会出版社/メーカー: ぴあ発売日: 2003/06メディア: 単行本購入: …

謙信暗殺

今や、天地人ブームということで、上杉景勝の先代の謙信の死までの話。表の戦国時代の話の裏にあった(?)忍びの暗躍による謙信の暗殺。 こういうのは、1年間の大河ドラマを一日で済ませたようなある意味お得感があります。謙信暗殺 (カッパ・ノベルス)作…

τになるまで待って

いよいよGシリーズ第3作目です。今回すごいのは、西之園、犀川の最強ペアが、最終局面でヘリに乗ってさっそうと登場するや否やものの5分後には、もう謎は全面採決。密室殺人事件のトリックがあっという間にわかってしまう天才ぶり。人間のどろどろしたもの…

θは遊んでくれたよ

Gシリーズの第2弾。西之園、犀川のコンビから、新しいコンビへの移行が進むのかと思ったら、そうでもないみたいで、いつまでも保護者の顔が見えるみたいな。しかも、なんと真賀田四季まで、登場(名前だけですが)するのです。このシリーズが終わるまでに…