終末のフール

　八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてパニックが起こり、ようやく小康状態になった五年後。すなわちあと三年後に人類滅亡となる仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民のお話。「死神の精度」と構成は近いものがあって、短篇が集まっているもののその間には、時間と空間がつながっていて、最終場面にまでつながってゆく。
　終末という特別に暗い話であるので、読後に「さわやか」にはならない。かといって暗いやるせない気持ちにもなれなく、自己の身の処し方に若干の躊躇を覚えるのであります。
　「冬眠のガール」は、重い話の中では、結構軽くなっている気がして好きです。終末も「冬眠」と思えば気が楽かも。

終末のフール (集英社文庫)