殺人哀モード

 日本推理作家協会の傑作選37です。書名は、内容と一致してないような気がします。うけ狙いとしか考えられません。けれど、それぞれの作品はなかなか楽しめました。特に、序文の北方謙三の文書は納得モノです。

 短篇小説を読んでいると、不意に不思議な気分に襲われることがある。身のまわりにある日常が、ふっと遠くなるように感じたりするのだ。・・・足は日常の中にあるのに、頭だけふわりと非現実の中に浮いてしまった、と感じたりするのだ。・・・短篇は、そんなふうに、日常生活の中の迷い道として、愉しめばいいのだと思う。