『初めに行動があった』 アンドレ・モロワ著  大塚 幸男訳 1967

 この本は、おそらく高校時代に読んだようなのです。書名と作者名が印象的なので、頭の片隅にずっと残っていました。今回、この一文を書き残すために、もう一度読んでみました。ところが、どうも心の中に入ってきません。当時はどうだったんだろうと、不思議になりました。
 当時、絶好調の井上陽水が、売れなかった頃の芸名(?)がアンドレ・カンドレだったせいか、はたまた、当時テレビで有名な「変な外人」タレントフランス人のフランソワズ・モレシャンと通じるフランス的な名前のせいか。それにもまして、初めに「光」があったり、「言葉」がある世界より、「まず行動!」といった感じの書名に胸ときめかせて、購入したのではなかったかと思います。今となっては、当時高校生の私が、その書を開いて最後まで読み終えたかどうかも、記憶の外です。
 心に残り、影響を受けた本の話ばかりしてきましたが、たまにはそうでないのもいいかなと、思っています。唯一、この本の書名は、私の大切なスローガンの一つにはなっています。考えてから走るか、走りながら考えるか、といえば、間違いなく後者です。けれど現実は、ややもすると、走ったあとで考えて、失敗の弁明に反省しきりといったことが多いです。