『芸 人』  永 六輔 著 1997

芸人 (岩波新書)

芸人 (岩波新書)

 永六輔は、偉大な語り部だと思います。昔から、チェックしている人です。
 日本で初めてのUFO研究会を作った(?)とか、天皇に着物を着てもらう会で活躍した(?)といった未確認情報やら、尺貫法の復活のために曲尺を売ったとか、なんだか訳の分からない活動をされておるのですが、過去の栄光とかはしっかり「こんにちは赤ちゃん」
上を向いて歩こう」などといったビックな作詞家だったわけで、先日もテレビで、「こんにちは赤ちゃん-おやじ編」なるものをご自分で歌ってらっしゃいました。
 こんなに活動的なんだからと、一瞬政治家になればとも想像したのですが、この手の方々が、政治家になってもパッとしていない現状(と私は思っている)では、「アサラアメ」のおっちゃんが、好きなことをしゃべっていて、それを「また、あのおっちゃん、しゃべってるよ。」といった、なんとなく「下町」的なスタンスがいいなぁと思います。
 さて、本題に入って、この本の内容なのですが、これは「読み物」です。って書くと、当たり前のようでありますが、この本は、幸せな「時間つぶし」をさせてくれます。三行程度の誰かの言葉があって、それに永六輔が、コメントをしてゆくというスタイルが前半で、後半は、講義録風になったり、三波春夫との対談になったりと、ちょっと統一感がないようなんですが、永のおっちゃんが好きなようにしゃっべっているのを隣で聞いてるというイメージ。話が終わったら、グッと背伸びして、じゃさよならってな感じ。
 「大往生」以来、読書でのヒットが続いていますが、私の持つ「読書」のイメージとは、ちょっと違って、軽く読めて、ウンチクがある作品には、新しい「読書」を感じます。