のぼうの城

 のぼうとは、でくのぼうの略であり、そののぼうと言われた人間を頭(かしら)にした戦の物語。1時間かせいぜい2時間スペシャルのドラマの原作といった。感じ。読み易い時代劇です。講談を本に起こしたと言えばそんな感じ。長編なのに短編的にサラッと読めました。評価は分かれるのかなぁ。

のぼうの城

のぼうの城

日本辺境論

 内田樹中央公論新社が主催する「新書大賞2010」で大賞受賞の日本論です。
 本の前半は、かなり聞いたことのある日本論ですが、後半は氏の武闘家としての体験に基づいた身体性を伴った記述にスペシャルなものを感じます。
 辺境であることを自覚して、その先を考えようといった主張のようです。氏のブログにも以下のような記述がります。

「辺境民に出口はない」のである。
だったら、もうとことん「それ」でいこうじゃないのと書いたのである。
この十字架を負って生きましょうとご提案したのである。
「『この十字架を負って生きる』というのは、どういうふうにすればいいんですか?」と訊く人に向かって、「あのね、人に訊かずに、自分で何とかすることを『十字架を負う』っていうの」と申し上げたのである(読者に失礼だからそうは書かなかったけど)。
「一番」だとか「ナマケモノ」だとかいうのは、典型的に辺境的なワーディングである。
そんな言葉を使っている限り、「出口がない」という事況そのものは永遠に意識化できない。

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

京極夏彦選 スペシャルブレンドミステリー 謎004

 スペシャル・ブレンド・ミステリー第4弾「謎004」京極夏彦氏のセレクションです。
 謎・疑・譚・情の4つのテーマを設け、味のある短編ミステリー集になっています。各章に前口上ということで、京極氏のお言葉が述べられており、1冊の本の統一感を感じさせてくれます。時間をかけて1作1作読んだせいか、最後の2作、「別荘の犬」山田正紀、「黒髪」連城三紀彦の作品には深いものを感じます。

Twitter社会論

 最近注目している「Twitter」の世界で、「Tudaる」元祖 津田大介さんのTwitter紹介本。
 ホームページ − ブログ − プロフ の流れの中で1つの大きな潮流としてのTwitterの分析が体験を通してされています。
 自分が編集長となって、何人かのつぶやきを載せる雑誌をつくる感覚が、入門時にはふさわしいのかなと。

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

黒笑小説

 東野圭吾のブラックユーモア・シリーズ(?)の第三弾。怪笑小説、毒笑小説に次ぐもの。
 皮肉な笑いが、13編コンパクトにまとめられていて、10〜15分程度で1編が読めるのも魅力的です。

黒笑小説 (集英社文庫)

黒笑小説 (集英社文庫)

クォンタム・ファミリーズ

 村上春樹1Q84を下敷きにしている感じの作品です。時期的には、こちらの方が早いのでしょうが、作中で、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」に言及されており、並行して存在する世界の行き来と、宗教がらみのお話になったのもかなりの影響があったのではないかと推察できます。
 ちなみに「クォンタム」とは、量子だそうで、その「量子」とは、ウィキペディアでは、

量子(りょうし、quantum)は、1900年にマックス・プランクが発見・提唱した物理量の最小単位。古典力学では考えられなかった不連続な量であり、物理量はこの最小単位の整数倍をとることになる。量子を扱う自然科学の理論を量子論と総称する。量子の概念は、アルベルト・アインシュタインニールス・ボーアらによって発展を続け、量子力学の建設へとつながった。量子の発見は、20世紀の物理学・諸科学に革命を起こした。

クォンタム・ファミリーズ

クォンタム・ファミリーズ

臨機応答・変問自在2

 前書「臨機応答・変問自在」のシリーズ2作目。前作は、学生に質問をさせたが、今回は一般に募集したものに回答したもの。森さんのユーモアと短い言葉での返答が冴えます。

Q何か行動する当たって「動機」は重要なのでしょか。医者を目指す動機や志望動機など、面接で必ず問われますが。
★動機くらい考えておいて「誠意」を示すのです。必要なものは、この誠意の方です。

臨機応答・変問自在 2 (集英社新書)

臨機応答・変問自在 2 (集英社新書)