日本辺境論

 内田樹中央公論新社が主催する「新書大賞2010」で大賞受賞の日本論です。
 本の前半は、かなり聞いたことのある日本論ですが、後半は氏の武闘家としての体験に基づいた身体性を伴った記述にスペシャルなものを感じます。
 辺境であることを自覚して、その先を考えようといった主張のようです。氏のブログにも以下のような記述がります。

「辺境民に出口はない」のである。
だったら、もうとことん「それ」でいこうじゃないのと書いたのである。
この十字架を負って生きましょうとご提案したのである。
「『この十字架を負って生きる』というのは、どういうふうにすればいいんですか?」と訊く人に向かって、「あのね、人に訊かずに、自分で何とかすることを『十字架を負う』っていうの」と申し上げたのである(読者に失礼だからそうは書かなかったけど)。
「一番」だとか「ナマケモノ」だとかいうのは、典型的に辺境的なワーディングである。
そんな言葉を使っている限り、「出口がない」という事況そのものは永遠に意識化できない。

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)