親指の恋人

 この作品発表後のインタビューで、作者は所得格差の話をされていましたが、まさにそのまんまの話。日本一高いボーナスをもらっている父親を持つ、ヒルズ族の大学生と、工場に非正規雇用で働く、トラック運転手(のちに植物人間)の父を持つ娘の心中話。最初に新聞記事があり、その記事のとおりに最後に死にます。救いはありません。読み終わると暗くなります。自分が、経済的に上か下かによって読み方が違ってくるかもしれません。ちなみにこの娘の場合は年収200万以下です。
 清く貧しく美しくってことにはこの時代は無理なんでしょうか。200万より年収が上だからそういえるんでしょうか。社会現象を作品にした割に、「じゃどうすんの」というヒントを読み解くには、私は力不足です。

親指の恋人

親指の恋人